平魚泳 Hirasakana Oyogu

夜の散歩(アルバム「一人じゃない」より)

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アルバム「一人じゃない」

 

それぞれの季節の空間の音を
1枚のアルバムに収めてみよう。

 

この企画は2001年から、
3年かけて実現されました。

 

すべて一人で思いつき、
誰も巻き込まず、
完結させた
創作活動でした。

 

 

時代背景

 

当時、二十歳そこそこ。
パソコンなるものが世間に普及して
そこそこ。

 

CDを作るのは
ライブで人気を集め、
動員を増やし、
プロデビューして。

 

そんな手法しか思いつかなかった時代。

 

バンドブームは終焉し、
カラオケボックスとかで気持ちいい曲が
ミリオンセラーでちらほら時代を築き、
庶民(僕)は、
windows95なるもので、
インターネットなるものを始める。

 

そんな時代でした。

 

 

個人的な「音楽」が及ぼした経験

 

カセットテープから、MDに
ダビングして聴く音楽の聴き方が
移行してきた頃でしょうか?

 

ウォークマン中毒の僕でした。

 

独りぼっちでも、
音楽を聴きながら
街を散歩すれば
「大冒険」にすることが出来るので
寂しくはありませんでした。

 

そんな一般的な音楽ファンだった僕は、
だいたい、冬になると聴きたくなるアルバム、
冬でなければ絶対聴かないアルバム。
夏になると聴きたくなるアルバム、
夏でなければ絶対聴かないアルバム。
というものがありました。

 

一例に挙げると、
フィッシュマンズの「空中キャンプ」。

 

 

あれはなぜか、
冬のキンっと寒い夜、
宇宙に独り、
放り出された感じで
星空を見上げながら、
散歩しながら聴いて
トリップしたい。

 

そんな音楽の聴き方を
個人的にしていました。

 

*************

 

「プロデビュー」なんかもほど遠く、
レコーディングの技術なんかも
全然知らない素人でした。

 

きっと
リバーブのかけ具合や、
音が聴こえてくる空間感の具合などを
あれこれ調整して、
「冬だなぁ〜」って音に
仕上げるのだろう。

 

そう想って、
敷居の高い世界だと感じていました。

 

 

そんな音の響きを感じる場所で録ればいい

 

でも、
ふと、思いついてしまったんです。

 

春だなぁ〜 夏だなぁ〜
秋だなぁ〜 冬だなぁ〜
って感じる空間は
僕の個人的なメモリーに
メモライズされているぞ!
その空間へ行って、
マイクを1本立てて、
MDに録音しよう!

 

そうだ。そうしよう!

 

*************

 

春は風の強い日が多く、
森がざわざわざわめく感じ。

 

森へ、山へ行こう!

 

①「風が吹く」という曲が出来ました。

 

*************

 

梅雨のじめっとした空気。
蛍が乱舞する異世界感。

 

そうだ、千葉の馴染みの田んぼへ行こう!

 

②「森おばけ」という曲が出来ました。
 (リンクだけ貼っておきます。この曲についてはまた!)

 

*************

 

秋。台風一過。
高くなる空・・・。

 

実家の、思春期を過ごした
自分の部屋から抜け出した
屋根の上だな♪

 

④「屋根の上」という曲が出来ました。

 

 

「夜の散歩」

 

そして、
本日紹介するyoutubeに載せた曲
⑥「夜の散歩」。

 

 

先ほど述べた
フィッシュマンズの「空中キャンプ」に
感じた冬の響きを
素人の僕は
どうやって表現しよう・・・。

 

そして思い浮かんだのは
「小学校の非常階段の響き」でした。

 

当時はどうだったっけな?
まだいろいろな事件が起きて
セキュリティが厳しくなる前の
牧歌的な時代との境目、
ギリギリの時期だったと想う。

 

生まれ育った、田舎の母校に忍び込んで、
非常階段に登り、
カリンバを弾きながら、
詩を語りました。

 

夜、あちこちウロウロして、
結局、この録音は
パンダ公園の大きなパンダの中で
録音したテイクが採用になりました。

 

 

時代、が変わったな・・・

 

今、聴き返してみると、
詩に時代を感じる僕がいます。

 

立ち位置的には
時代に馴染めない
マイノリティで引きこもり(がち)な
「僕」です。

 

賑やかな「時代」に馴染めず、
夜、独り散歩して日々を過ごす。

 

そんな「僕」が唄っています。

 

バブルが弾けたとはいえ、
頑張れば「華やかに」生きられる時代でした。

 

「引きこもり」や「ニート」という言葉は
まだ無く、
「サラリーマン」か「フリーター(フリーアルバイター)」という
二分別を軸に語られる時代でした。

 

 

*************

 

「静かなね」「そうだね」
と、独りで語られる世界から覗いた世界。

 

それは、
遠くの国道で「暴走族が走る音」。
最近の2〜3台で爆音を鳴らして走る
少子化時代の若者が頑張ってグレてるような
「哀愁」ではなく、
「破壊的な賑わい」を
遠くで聴いているかんじ。

 

酔っ払いか何かわからないけど、
公園の植え込みで
倒れて寝ている背広着たサラリーマン(かな?)。

 

闇から覗いた「時代」の陰影、コントラスト。
ノスタルジックに時代を感じます。

 

 

特別な「静けさ」が世間の日常に変わった

 

僕は2010年頃まで、
お正月は、千葉の実家に帰って、
両親としばらく話したあと、
独りでウォークマンを耳に挿して、
仲井戸麗市さんの「絵」を聴き、

自転車で、生まれ育った町から
遠くまで走る習慣が好きでした。

 

いつもは活気で溢れている町が、
シンと静まりかえって、
まるで別世界。

 

いつもは賑やかで堂々とした街に
気押されているけど、
この日は僕みたいな引きこもりを
白い目で見るような奴らはいない。

 

・・・なんちゃってね♪

 

妄想の
そんな雰囲気が好きでした。

 

*************

 

でも、2011.03.11。
そして2020年からの
新型コロナウィルス騒動。

 

ひきこもりでマイノリティとして立っていた
僕が享受していた貴重で特別な日が
なぜか世間の日常になってしまいました。

 

活気のあった商店街は消滅し、
シャッターの下りた町の景色は
毎日がお正月のよう。

 

両親も高齢者施設に入り、
実家は空き家となり、
僕自身が、
若者ではなくなった。

 

かつての「大人」は老いて、
僕は「今の社会」で「大人」になっています。

 

若かりし僕とは
違う僕になっているのかといえば
そんなわけでは全然ない。

 

むしろ、
あの日々の「僕」を連れて、
「今」の「僕」は
歩む所存です。

 

そんな「僕ら」の
個性のグラデーションは
時代をどのように変えてゆくのでしょう?

 

 

「おばあちゃん」とは着物を着ている人だと想ってた

 

かつて僕は
「おばあちゃんは着物を着ている人」
と認識して、
お母さんがおばあちゃんになった時、
「おばあちゃんになると着物に着替えるわけじゃ
ないんだ!そりゃ当たり前だ(笑)。
そうか、僕のおばあちゃんは、若い時から着物を
着ていて、その当時の若者のファッションが
『着物』だったんだなぁ・・」

 

なんて、
ハッとさせられたことがありました。

 

 

最後に影響を受けた2曲を紹介して

 

きっと僕はこれからも
awkwardで、wallfrowerな人生を
責任持って歩んでいく所存です。

 

時代が、世間の人々が
何に今後、光をあてるかは知りません。

 

でも、僕は、
こんなawkward kidや、wallfrowerに

I hoped I’d grow up to be cool,
just like the heroes in my school,
never was a bigger fool.
Sixteen came and went,
nothing was different.
Important lessons passed me by.
Well it seemed that all my friends knew more,
but how I never knew for sure.
Always last to get the punchline,
left alone to think at lunchtime.
I shut my mouth and prayed,
that I would get it sometime.
Deep down I’m still an awkward kid,
I’m not half the man I thought that
I’d grow up to be,
I never solved the mystery.
I thought I’d find out more,
but I’m as lost as I ever was before.
I’m as lost as I ever was before.
Look a little harder,
there’s less than I can tell,
you may think that I’m smarter,
but I’ve learned to act as well.
In fact I’m lying, I just play a bit,
maybe one day I’ll be really good at it.

 

MEGA CITY FOUR : Awkward Kid

 

Take these words I give to you
take some comfort every word is true
We have so little time
I won’t waste a moment telling lies
Wallflower high

I carried on when I should have stopped
I carried on when I should have given up
I swallowed hard
I swallowed every line

Wallflower high
stealing my light
clouding my sight
doubting my judgement
against everything I knew
I could not give up hope that
one day I’d get through to you
Wallflower high.

Yesterday I met your friend
I wanted to turn my back on him
but I sacrificed my feelings
forced myself to speak

I imagined you were in the room
watching my reactions
I imagined you just smiling to yourself
in satisfaction

And if I did not care
if I saw your face again
I’d have gladly turned my back
and walked away.

 

MEGA CITY FOUR : wallflower

光を見出して、
10代、20代を生きてきました。

 

40代、そして50代になっても、
変わらぬ態度で、
この世を、この身で、
生き抜いていこうと想っています。

 

CDのみで販売してます。

 

こんな意識のアルバムを2003年に完成させ、
CD-Rにサランラップを巻いて1000円で販売していました。

 

awkwardで、wallflowerな僕は
その後100均に登場する
CDを梱包するためのクリアポケットを
手に入れる手段を知りませんでした。

 

この「サランラップ」に衝撃を受けた友達が
今でも憶えていて、
恥ずかしくて仕方がなかったけど、
そんな「僕」だった僕は、
あの日々の若かりしアートを
大切にしたく想っています。

 

売れる見込みで作ったCD-Rは
今もたくさん余っていて、
聴いてみたい方がいたら
3000円で郵送させていただきます。

 

考えたけど、
わかった上で買ってもらいたくて。

 

だから、
安く売らないことにしました。

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    この記事を書いた人

    平魚泳

    ウクレレ弾いて、タイコ叩いて、笛を吹いて、歌う。詩人。音楽家。言葉の持つ力、音の持つ力を日々確かめています。

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