風花
12月に入り、
冬も本格的になり、
街をイルミネーションで
暖かげに彩るこの季節、
影を彩るお気に入りの曲です。
この曲は、
前回の曲紹介とは打って変わって、
偶然の産物をここまで(レコーディングまで)
やってしまった、
面白い記録です。
目次
イベントへの出演依頼
20代後半から30代半ばまで(2011年まで)
歩いたり、自転車だったり、
無賃乗車を駆使したりして、
全国のあちらこちらで演奏していました。
とある年のクリスマスイブ、
とある地方の町の外れで、
公園をイルミネーションで飾って
出店があって、ステージがあって、
という、
地域のイベントへ行きました。
その数ヶ月前に、
この町で知り合った方に誘われ、
このイベントに演奏へ行くことを
約束しました。
ギャラの話とかは置いておいて、
二つ返事でその頃は(今も)、
全国どこへでも赴いていました。
演奏できる機会があるだけで
有り難かったのです。
でも、
無賃乗車とかしている時点で、
けっこうヤサグレた心も
一緒に連れていたと想います。
暗雲
イベントへ声かけてくれた人が
多忙で同席できない。
と、連絡があった時点で、
やめればよかった。
それでも僕は、
ジャンベ(タイコ)を入れたバックパックの隙間に
寝袋入れて、
宿泊のアテもなく
(街のネットカフェにでも泊まるつもりで)
その町に出向いたのでした。
幸いにも、
主催の人に、顔を取り次いでもらっていたので
ステージでの演奏は出来ました。
でも、まぁ、
そのステージは
オープンマイク的なもので、
地元の合唱団の発表の場であったり、
カラオケのおじちゃん、おばちゃんの場
であったり。
そこそこ笑われ、
拍手をいただき、
ステージを降りたら、
独り。
拠り所無く、
佇んでいました。
主催の方から、
出店しているジャガバターをいただき、
それなりに楽しんでいる装いで、
この夕べを過ごしました。
この町は、
降りた駅から
バスで30分くらい来たところ。
21時も回れば、
最終バスも終わってる。
そんな外れの町でした。
のちに
「泊まる場所がないんなら、
言ってくれたらよかったのに」
と、気さくな主催の方に
言ってもらえたのだけど、
いきなり初対面でそんなことは言えず、
いつまでも
何かを期待して、
物欲しそうにここにいてはいけない。
と思い、
「では、おつかれさまでした〜」
と言って、
公園を離れたのでした。
河原で野宿
歩いて駅前まで行けば、
ネットカフェとかあるだろう。
当時はまだ、
ガラケーでezwebにつないで
何か調べる
というくらいの時代でした。
テクテクと大きな川沿いを歩き、
ふと、
ここで野宿しようと決めました。
寝袋あるし♪
人生を楽しんでいました。
流木に火をつけ、
たき火をしながら、
寝袋にくるまって寝ました。
(↑mixiに書いた日記見つけた!
2006年だったんだぁ〜
若かったなぁ・・・)
翌朝、起きて、
目的地へ向かいました。
(そうそう、目的地はあったんだよ)
そんな朝、道端で、
フェンスにマイクをひっかけて、
かじかむ手と声で、
メモるように、
俳句を読むように、
MDに、この詩を吹き込みました。
月日は流れ、当時の記録が再発見される
そして、
結婚し、子どもも生まれ、
大分の古民家に暮らし、
40代に差しかかったある時、
実家から、
そんな旅の記録のMDを持ち帰り、
これまたMDがまだ聴ける
古い車で、
一緒に音楽している友達と
運転しながら
そんなMDをランダムに聴いていたら、
「この曲いいね」
と言って、
すくい出してくれたのが、
この曲を
再び演奏することになったご縁です。
いももってる。いいもんもってる。
ちょっとしたエピソードを
長々と書いてしまいました。
「芋持ってる。いいもん持ってる」
ってフレーズは、フィクションです。
芋なんて持っていなかったけど、
寒空の下、
こんなダジャレを思いついて
独りでクスクス笑っていたことを
想い出します。
駄作だと想っていたけど
駄作だと想って、
それっきりにしていた曲が、
まがりなりにも
こうしてレコーディング、
動画制作まで行きつき、
「作品」として
みなさんにお届け出来るご縁、
本当に有り難く感じています。
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